しかし、怒りに身を任せた次の瞬間───


「だづぎぃ~~~!」

「ハアッ!?」


急に目頭が熱くなって涙腺が大崩壊してしまった。


「え、なに!?なんで泣いてんの姉ちゃん!」


うるさい、こっちが聞きたいわ!

感情がぐちゃぐちゃになって、急に涙が押し寄せてきたんだよ!


「ギターが……ギターがぁ、奪われたァ!」

「は?どういうこと?」

「うっ、うう……今までありがとう達綺。
私は達綺のお姉ちゃんでよかったよ」

「何言ってんの。てか学校で盗られたってこと?誰に?」

「お父さんにもよろしく伝えて……」

「いやだから、人の話聞け!」


そこからすれ違いコントのような会話が続いて、時間をかけようやく正気に戻った。

そして経緯を涙ながらに説明した。


「……要するに、その雷神の総長にギター没収されたってわけ?」

「そうなんだよ……ズビーッ!」


泣いたせいで鼻水が出たので、ティッシュで勢いよく鼻をかんだ。


「で、もう返してくれないって?」

「いや、“明日もここに来い”って言われた。
でも、行ったところで返してくれる保証はないし」

「ならいいじゃん──」

「良くないよ!」


かなり被せ気味で達綺に詰め寄る。


「相手は泣く子も黙っちゃう雷神だよ!?
死にそうになったんだから私!
ヤバいよ、あの無言の圧力……睨まれただけで殺される!」

「でも姉ちゃん死んでねえじゃん」

「なにをぉ!?」


食ってかかったら、ティッシュケースを盾にされた。