リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

人を殴る乾いた音と、悲鳴や雄叫び。

それから、血の臭い。

5分後、その場にあふれていたのは喧嘩の音や臭い。


数で圧倒されていたが、地力で勝る雷神に勝利の兆しが見えている。

10分経過した頃には、半分以上が倒れていた。

あと30人、あと20人──



「ぎゃあああぁ!!!」


そんな時、閉ざされた倉庫から断末魔のような悲鳴を耳にした。

胸騒ぎがした。

脳裏によぎったのは優凛のあの顔。

感情を失った、あの表情。


「睦斗!先に行け!」


不穏な雰囲気を察したか、颯一の声が響く。

俺は仲間たちを視界に入れて、叫んだ。


「頼む……!」


駆け出した体は中枢部――灰色をまとった倉庫を目指す。

……優凛、お願いだからもう一度笑ってくれ。

俺と一緒に笑ってくれ。

それだけでいい、お前は俺の全てだから。