リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

この人は地元を牛耳る財閥の一人娘で、当時は誰も彼女には逆らえなかった。


そして何よりこの人は怖い。

すごく怖い。


私はこの人に平手打ちされた。

階段から突き落とされた。

友達と一緒に、私を蹴ったり殴ったりした。


『……ねえ、安西さん。あんた何様のつもり?』


そこまでして怒る理由はひとつ。


『翔一くんに手出さないでって何回言ったら分かんの?それとも死ななきゃ分かんない?』


この人が翔一を好きだから。

怖いくらい、翔一に執着してるから。

翔一に話しかけるな。

翔一の傍にいるな。

翔一の視界に入るな。



何度も、会う度、殴られる度言われてきた。

でもそれは出来ない。

だって翔一は、私のたったひとりの友達。

みんなに気味悪がられる私に優しくしてくれる、大切な人。


『なんで黙ってんのよ。まあいいわ、今日はあんたについて来てもらいたい場所があるから』


工藤さんは冷たい手で、私の腕を乱暴に掴む。


『あたしから逃げようなんて思わないでよ?逃げたらもっと酷い目に合わせてやるんだから』


怖くて、何を言えばいいのか分からなくて、引きずられるように彼女についていった。

そこで、あの灰色の空間に放り込まれたんだ。