──バタン


しかし、突然の物音に足は止まる。

入り込んできた熱い外部の空気、嫌に眩しい日差し。

アジトの出入り口となる、鉄製の扉が開かれた証拠だった。


「優凛はいるか?」


扉を開け放した人物は、唐突に声を発した。

肩で息をつき、髪は乱れている。


「雷さん……」

「3代目……!?」


それは優凛の父親だった。


「お前ら……優凛がどこにいるか分かるか!?」


顔面蒼白で尋ねるも、誰も問いに応ずることは出来ない。

優凛の行方を知らないからだ。


「どうして……っ!?」


その様子に糸が切れたように、雷さんは床に膝を落とした。


「雷さん!?」


慌てて駆け寄る俺たいに、息も荒く心情を吐き出した。


「なんで俺じゃない!?なぜいつも優凛なんだ!
悪いことはいつも優凛に降りかかる……どうして!」


怒りや不安に震える体を抑え、雷さんは言葉を繋いだ。

それは絶望を含んでいた。




「優凛がいなくなった。どこを捜しても見つからない」