終わったと思った直後だった。


「安西?……そういや似てるな」

「え!?そんなわけないっすよ。他人の空似だって!」


リキさんと赤髪が顔を見合わせる。

ん?似てるって誰に?


「……確かに目元がよく似てるな」

「は?んなわけねえだろ」


皆が不思議そうに首をかしげる中、無口だった金メッシュが割って入ってきた。


「同じ名字なだけだろ。大体“その安西”だとしたら、雷神を知らないのはおかしい。
こいつの馬鹿加減だと、演技には見えねえし」


バカ!?いや、そんなことより“その安西”って?


──キーン…コーン…


と、思っていたらチャイムが鳴った。

ってこのチャイム昼休み終了の合図ではないか!


「やばっ!行かなきゃ」

「おい、安西優凛」


あわてて立ち上がったら、総長さんが近づいてきた。


「勝手にここに入った罰だ。そのギター置いてけ」

「え、だって名前教えたじゃないですか」

「それとこれは話が違うだろ。さっきは名前を教える代わりにギターは壊さねえって約束したんだ。
俺、返してやるとは言ってねえけど?」

「なっ……」


何だこの男、手口がヤクザだ……!


「ただし、お前が明日も屋上に来るんだったら返す」

「……はい?」

「つまり、明日もこの場所に来い。じゃあな」


彼は目の前に来ると、私が持っていたギターを手に取ってニヤリと笑う。

その綺麗な笑顔にびっくりしてあっさり渡してしまった。

すぐに逃げるようにその場を去ったけど、意味が分からなかった。

似てるって誰に?なんで私に執着するの?

ただひとつ頭が処理出来ているのは、最悪な日は続く模様だ、という未来予報。