リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

母さんが嘘をついて、この世を去っていったことが。

たとえ家族を守るための嘘と知っていても、姉ちゃんは許せなかったんだ。

愛してるがゆえに、愛されているがゆえに。



……母さんは幼い頃から病魔と戦っていた。

一度は完全に去ったと思われた悪魔。

膝に抱えた爆弾。


骨肉腫。別名、悪性腫瘍、ガン。


完治したはずだったそれは、長い年月をかけて母さんの体を蝕んでいき、ついに覚醒した。

知らぬ間に、肺に転移していたんだ。

発覚した時は既に末期と言われる状態で、余命は半年と言われていたそうだ。


けれど母さんは、最後の最後まで真実を口にしなかった。

代わりに、こう告げたんだ。


『ずっとずっと……あなたたちのそばにいる』


優しくて残酷な嘘を。


『私は、嘘をつかないから……』


涙のたまった目で、折れてしまうような細い身体で、俺たちを抱きしめながら言ったんだ。

あれは子どものためについた嘘だって、今なら分かる。

けど幼かった俺たちは、その通りだと思ったんだ。


母さんが死ぬはずなんてない。

母さんは一生そばにいてくれるんだ。

けれどその嘘が、母さんにとっての最後の言葉だった。