「……また来る」


しばらく無言が続いた後、手を放し、それだけ言って病室を出て行こうとする。


「睦斗……いいのか?」

「……ああ」


なんでこんな冷静なんだ?

どうして落ち着いていられる?


「なあ……」


気がつけば、俺は口を開いていた。振り返る彼らに、俺は一言。


「姉ちゃんのこと……知りたくないんですか」


おかしいな、赤の他人のはずなのに――


「今なら全部話します。姉ちゃんに何があったのか」


姉ちゃんのことを教えてもいいと思えてしまうのは、なぜなんだろう。


「……聞かせてくれ」


睦斗さんはもう一度俺と向かい合い、傍に寄ってパイプ椅子に座った。

ほかの人も俺が座っているベッドの周りに近寄る。

俺はどこを見るでもなく、唇を動かした。