「っ…ふっ…」


苦しくて、悲しくて、怖くて。

周りに雷神たちがいるのに、脇目もふらず俺は泣いた。

怖い、ひたすら怖いんだ。

先が見えない。誰か、助けて──


「……達綺、大丈夫だ」


絶望に打ちひしがれて、震えている時だった。

頭に置かれる、大きくて温かい手。


「俺がいる。俺が守るから」


落ち着いた声は頭の中に直接響くみたいで、不思議な感覚にとらわれる。

この声──睦斗さんだ。


「優凛は強い。大丈夫だ」


わしわしと頭を撫でるその人。

不思議なことに落ち着いていられた。