「思い出したよ……左足で大きく育ったガンは長い時間をかけて肺に転移して……そしてお母さんは亡くなった」

「優凛……なんで今それを……やめてくれ、大丈夫だから!」


お父さんは私を抱きしめて、震える声で制止をかける。

でもどうして?私はホントのことを言ってるだけ。

そう、お母さんは死んだの。

私たちを残して、この世を去っていったの。


だから私はこの病院が嫌いになった。

お母さんが冷たくなっていった場所だから。

お父さんが涙を流して、亡骸を抱きしめていたのを見ていたから。


「お母さん……」


呟いて、顔を伏せて、何も考えないことにした。

人形のように無表情に無感情に。

人との関わりを絶つんだ。それが私を保つ方法。

もう、首の皮一枚の状態だから。

これ以上何かを思い出してしまったら、私はどうなるんだろう。