リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

「ふう…すっきりしたぜ」


まだほんのり甘い香りが漂うけど、もう気にしない。

さっきの生クリームだらけの顔に比べりゃどうってことないさ。

再びロビーに向かうと、中央に人集り。


「おい、来たぞ」


輪の外側にいた人が言うと、さささっと人が散らばっていく。

その中心に、丸テーブルがひとつ。

テーブルの上には、イチゴたっぷり、生クリームたっぷりの大きなホールケーキがあった。

中央に乗っけてある楕円形の板チョコには、“HAPPYBIRTHDAY優凛”と丁寧にデコレーションされている。

ろうそくまで立てられていて、準備満タンって感じだ。

美味しそうだが──もしかするとこれを私にぶつけたりして。


「……こっち来いよ」

「……うむ」


疑心を抱きつつ彼らの表情を見ていたが、変に笑ってる野郎はいない。

こっからは普通の展開、でいいよね?

変にサプライズは要らないよ?


「わぁぁすごい……!こんなおっきなケーキ初めて!あ、ちゃんと名前入ってる」


……じゃなくて、聞きたいことがあったんだよね。


「なんで私の誕生日知ってたの?」


それは雷神たちが私の誕生日知ってたってこと。

誰にも教えた覚えないし、アピールした記憶もない。


「俺が教えた」

「え……?」


……誰だ、今の声。

聞き間違い、だよね。

そうじゃなかったら、ありえない人物がここにいるってことだから。