リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

歌う?なぜ!?どっからその発想に?


「嫌です!」

「いいから歌え。お前の歌声が、なんか引っかかって気になる」

「え……下手だから、ですか?」

「違う。何か思い出せそうな気がするから、歌え」

「んん?」


訳が分からぬ。そしてなぜ誰も批判しない。

ちょっと赤髪くんよ、ここでこそ私を否定してくれよ。

「誰がブスの歌なんて聴けるかよ!」とか罵ってよ。

今だけなら許してあげるから!


「いいじゃん、歌ってよ」

「……だな。勝手に屋上入って来たてめえが悪ぃし、罰ゲームだ」


ところがチャラ男の次に、リキさんが真顔で同調する。


「歌?上手いのか?」

「……」


銀髪紳士は純粋にハテナを口にして、金メッシュは黙り込んで、何かをうかがってる様子。


「どうなんすかね、音痴だったら逆に見物だな!」


最後に赤髪が、嫌味たっぷりに笑った。

こいつ、以前からわかってたけど、私のことナメてやがる!

そーかそうか、分かったよ。


「何を歌えばいいんですか?」


頭にきて歌ってやろうという意思が固まり、総長さんに視線を送る。


「さっき歌ってたヤツでいい」

「え?でもあれ、結構古い歌だし」


あれはお母さんがよく歌ってた曲。

確かに名曲だけど──失恋ソング、なんだよね。

この場で歌うには、きっと向いてない。


「それでいい」


だけど彼の眼差しは、とてもまっすぐだった。

どうしてだろう、根拠はないのに、歌ってもバカにされない気がした。