「あと1週間後に桜南高校の文化祭が開催されることになってる」

「はぁ、そうですね」

「そこで、ひとつ提案……というかお前にやってもらいたいことがある」


ふむふむ、やってほしいこととな。

文化祭で?いったいなんだろう。


「優凛……歌え」



出たよ、突拍子のない、睦斗の「歌え」命令。

って……どういうこと?


「どこで?」

「学校で」

「いつ?」

「文化祭のフィナーレ」

「……なんで?」

「俺が決めたから」



何を言ってんだ、我らが総長さんは。

そしてなぜ地味に俺様が入ってるんだ。

あれ?結論聞いても理解できないなんて初めてだ。

とりあえず──なんで文化祭で歌わなきゃならないんだ!


「心配しなくて大丈夫だよ。ここの文化祭は招待制で変な奴らは入って来ないからね」

「招待制?」


ほうほう、特定の人しか入れないっていう招待制──じゃなくて桜汰先輩。

そんなこと聞いてませんけど?


「ってことでその日はこの高校も安全地帯ってわけだ」


まるでいつもは無法地帯みたいな言い方しますが、璃輝さん。

桜南高校は雷神がいるということを除けば割と大人しい学校ですよ。

そしてどーして私が歌う前提で話を進めてるんですか?


「やるからには、ちゃんとやれよ」


おい、那智。

あんた私にそんなこと言うキャラじゃなかったのに、プレッシャーかけてんじゃないよ!

大体私は歌うなんて言ってない!