「……走ってくれば?」

「な、なんと!こんな治安の悪い街に私を放り出すの!?」


この街が結構デンジャラスだってことは、達綺も知ってるでしょ?

夜にジョギングなんて危険な行為だ!


「いーじゃん、姉ちゃん強いから」

「……ハイ?」


そんな緊張感のない顔で言われても、説得力ないぞ!


「じゃないと今日の晩メシ、姉ちゃんの分無しね」

「……え??」

「あーあ、今日は姉ちゃんの高校進学を祝って、頑張って作ろうと思ったのになー」

「え!?」

「でも、姉ちゃんがうるさくて集中できないから、仕方ないか。今日はそこら辺のコンビニ弁当かな?」


達綺のその言い方は、私をあしらってる時の口調だってことは分かってる。でもさ──


「ま、待て待て!」

「ん?」


達綺の作るご飯はおいしいんだよ!


「……仕方ないな。そこまで言うなら走って来てやるよ」

「ふーん……」

「だから晩御飯作ってください!お願いします」


光の速さで土下座をした。

当然、何してんのこいつ、と冷たい視線を浴びせられたけど、気にしない。


「じゃあ、さっさと外に出てもらえます?」

「ハイ、行って参ります!」


そして私は疾風のごとく外に飛び出た。