リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

俺たちは土手に生えてる雑草にまみれながら、川辺に仰向けに倒れていた。


「ハア……なん、で……追いかけてくんだよ」

「あ?お前が……逃げるから、だろうが」


蒸し返るような日差しのもと、2人してへばって息も絶え絶え。

本当、何やってんだ。


「なあ、那智……覚えてっか?」

「あ?」

「中学の時、ここであいつら倒したの」

「あいつら?……ああ、あのデブか」


灼熱の太陽を見つめ、睦斗は口元をゆるませた。


「そう、そいつ。何かと俺たちにいちゃもんつけて、最終的にタイマンしろとか言ってきたよな」

「はっ……仲間5人くらい連れてな。最早タイマンじゃねえっつーの」

「ははっ、そうだった。懐かしい」


そうだ。

あのころは今よりもっと単純で──こいつといることが、楽しかった。


「あの時は、バカだった……」

「ん?」

「アホみてぇな事ばっかして、何も考えてなかった」

「ああ、バカだったな俺たち」


そう言うと睦斗は体を起こし、俺に向けて言葉を放った。


「今も変わらねぇだろ」

「は……?」

「色々考え方とか変わるかもしれねぇけど、那智は那智のままだ」

「……」

「……お前とつるんできて思った。お前がいてこその俺がいるって。お前があってこその雷神があるって」


俺は寝転がったまま、睦斗の声を淡々と聞いていた。

こいつは不思議な奴だ。

その声もその瞳も、1度触れてしまうと逸らすことができない。



「那智、戻ってこいよ」


だから、微かな笑みを含んで言い切ったこの言葉は、俺の心を酷く揺さぶるんだ。

その言葉に従いたいと、思っちまうんだよ。