リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

暑さにやられて、逃げる気が一瞬失せた。

その隙に腕を掴まれた感覚が伝わる。

睦斗がついに、俺に追いついた。


……そうやって突き放さないのは、お前なりの慈悲か?

それとも今でも──俺を仲間と思ってんのか?


「こっち向けよ那智!」

「っ、放せ……」


違う。


「放せよ、赤の他人にとやかく言われる筋合いはねえ」


そんなこと思ってねえ。

睦斗を突き放したいんじゃねえ。

なのに、俺は嘘をつく。

自分を守りたいがために、人を傷つける。

俺は──つくづく最低だ。


「てめっ、いい加減……なっ!?」

「あ?……おいっ!」


その時、力強く腕を引かれた。

不意のことだったから体がうまく反応せず、流れに任せて体がバランスを崩す。

同じく睦斗もバランスを崩し、河川敷の坂を2人して転がった。

……何やってんだ俺たち。限りなくダセェ。