リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

side 那智


炎天下の中、俺は行く宛もなく河川敷を走った。

ただ、後ろを追いかける睦斗の存在から逃げたい一心だった。


「那智!」


こいつは、いつだってそうだ。


「くそっ……追いかけてくんじゃねえよ」


河川敷を走りながら、嫌が応にもこいつを気にかける俺がいた。


睦斗、お前はどうして俺を選んだ?

何もない俺に、どうして居場所を与えた?

お前はいつでもそうだ。

いつまでも、優しすぎるんだよ。


「那智っ!」


いつまでも、呆れるほど自分の気持ちに実直。

何度こいつを『羨ましい』と思ったことか。


「逃げんなよ、話聞けよ!」


その上、人を正しく導く統率力を持っている。

全てに関して恵まれているのにお前は。


「待てって……言ってんだろうが!!」


断じて、俺を放そうとはしてくれねぇんだ。