那智を呼ぶ時、同時に睦斗を呼び出していた。

ただし、要件は言わず。ただあの場所に来てほしいと告げて。

だから。


「……那智!?」


バイクを河川敷に止めて、ヘルメットを取った彼が、驚きを隠せないのは当然の反応。

那智も私と睦斗を交互に見て、複雑な表情をしていた。


「……優凛、どういうことだ」


睦斗の問いに答えず、その瞳を見つめた。

話してほしいと、目で伝えた。


「……チッ」


ところが、那智は顔を歪め小さく舌打ちをし、私達に背中を向けた。


「那智!」


そして河川敷を駆けだした。


「那智、待て!」

「……っ!」


睦斗もすぐに那智を追いかけて走り出す。


「待てって!那智!」


長い長い河川敷を、2つの陽炎がゆらゆらと小さくなっていく──って傍観してる場合じゃない。

このままだと2人を見失うではないか!!


「待って!置いてかないで!!」


そうして私も2人の後を追った。