灼けつくような日差しに、アスファルトの照り返し。

吹き抜ける風は波を揺らし、セミの声を運ぶ。

うだるような酷暑の中、ずっと待っていた。


「……優凛」



流れゆく川の河川敷で、彼を待っていた。


「那智……」


夏らしくない、涼しげで悲しげな表情の彼を。

電車を乗り継いでバスに揺られて、暑さに耐えながら歩いて10分。


「ごめんね?こんな暑い時に呼び出して」


那智の家の近くまで、ひとりで足を運んだ。


「……話って何だ」

「もうちょっと待って」


『お前なら出てくれるかもしれねえから』と睦斗に教えてもらった那智の連絡先。

それに何度も電話をかけて、やっと繋がって、今こうして那智を呼び出した。