リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

「……そうなのか優凛?まさか睦斗とケンカ中か!?」


お父さんは怖い顔して、私に真意を問いただそうとした。

けれど私は作り笑いをしてしまった。


「違うけど、今は行かないほうがいいんだ」


睦斗と私が会うことで、辛い思いをしている人がいるから。

苦しんでる人がいるから。

私だけが幸せなんて許せない。


「ふーん。だから最近ずっと歌ってんだ」


達綺はソファの背もたれの部分に寄りかかって話しかけてきた。


「今の姉ちゃん、何かを忘れようとして歌ってる気がする」

「……え」

「不安な時いつもそうだよね、姉ちゃんって」


……なんで、分かるの?


「あ、フィスト・ファイティング再放送始まる…」


口に出そうとして、そこで止めた。

達綺はテレビのリモコンを操作し始めたし、この疑問は口に出すことじゃないから。

どんな些細なことでも、心配はかけたくない。

家族には、笑って欲しい。


「よっと……まあ、若い時は色々あるよな」


お父さんは優しく笑って食卓に座る。

無理に詮索しないお父さんは、昔からそう。

私が嫌なことにあったときは、自分から話すのを待ってくれる。


「……お父さん、もしもの話なんだけどね」


だから、今日はお父さんに頼っていいかな?

お父さんに相談したいことがあるんだ。