リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-





「ただいま達綺ちゃん!!」


想定外だったスカウトから1時間後。

私たちは我が家に到着していた。


「お帰り……どこ行ってたの?」

「駅前で歌って来たの!」

「あー、それでギター持ってんだ………え?」

「え?」

「それって……路上ライブってやつじゃね?」

「いかにも!今日も私の美声に魅了された人々が集まってくれたよ。ふふふ……」


不敵に笑うと、リビングのソファに座ってた達綺はぼそっと呟いた。


「へえー……姉ちゃん、歌“だけは”すげえもんな」

「まあね〜ってコラ!『歌だけ』とは何事じゃ!喧嘩売ってんのか!?」


キレた私に、達綺はいたって冷静に振り返った。


「冷静になろうぜ?こんな暑い中騒がれても困る」

「っ……!?」


あまりにも正論すぎるツッコミ。

くそう、ぐうの音も出ねえぜ。

達綺この野郎──バスケ部のエースだからって調子に乗りやがって。

もっとお姉ちゃんを敬えよ!


「てか、最近行ってねえじゃん、どうしたの?」

「あ?」

「総長さん……彼氏のとこ」


急にマジメな口調になった達綺は、睦斗のことを言い始めた。


「毎日会いに行ってたのに、父さんが帰って来てからまったくねえだろ」


むむ、達綺にそう思われるほど、睦斗に会いに行くのが楽しそうだったってこと?

恥ずかしい限りだね。