リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

なるほど、彼らは私たちを必要としているようだ。


「……私、ストリートライブで十分お腹いっぱいって思います」


でも残念。私は歌で食っていこうとは思ってませんので。


「……とりあえず話だけでも聞いて下さい。
実は清水プロダクションは経営の危機にありまして」

「え……?」

「確かに、ここにいる郡司はモデルやタレントとして成功を収めていますが、彼だけなんです。
元々小さな事務所だった故に、大型の新人をスカウトすることが困難で……」


なるほど。

だから日本人の誰もが知っている郡司レオンなのに、事務所が有名じゃないから清水プロダクションのこと分からなかったのか。


「それに……レオンは来月から半年間、アメリカに渡ることになりました。
ですからこのままではほぼ確実に、事務所が潰れてしまうことでしょう」

「アメリカ……?」

「はい、レオンはハリウッドデビューが決まっています」

「ハリウッド!?」


確かに、郡司レオンの演技は素晴らしかった。

この人が主人公に抜擢されたドラマ『フィスト・ファイティング』は毎週録画してたもんな。

男気あふれる青春ストーリーに心が震えて──って感動してる場合じゃない。


「一世一代の大チャンスなんです。彼に賭けたいのはもちろんのことですが、それでは大黒柱を失うのも当然」

「ほお……」

「そこで、実力のある才能を見つけ出しておきたかったのです」

「はあ……」


才能の持ち主。それが私だと?

私に清水プロダクションの命運が託されていると?

そんな、責任重大すぎませんか。