問いかけた先で、優凛は何を思うのか。

俺独りならまだしも、優凛に辛い思いさせてどうすんだよ。


「……大丈夫」


後ろめたさに目を瞑っていると、解き放たれた言霊。


「大丈夫だよ睦斗。大丈夫……」


それから、背中に優しく触れる優凛の手。


優凛は俺の背中をさすりながら、「大丈夫」と言い続けた。

その真っ直ぐな言葉は不思議と俺の心のもやをゆっくりと払っていく。

強く言い切ったその声には、揺るぎない力が宿っていた。

根拠なんてねえけど、優凛がそう言えば大丈夫な気がする。


「優凛……」

「んー?」

「好きだ」

「……私も大好きだよ」


救われた。

これっぽっちの言葉でこんなにも救われたと思えるのか。

優凛の言葉はまるで魔法だった。

ああ、話して良かった。

お前がいてくれて、本当に良かった。