リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

「……もう帰る」

「……え?」

「にわか雨だから、そろそろ上がるだろ」


適当に頭を拭いて、やっぱり帰ろうとした。

それなのに、優凛は俺の服を掴み、虚ろな表情で口ごもった。


「せめて……雨が上がるまで一緒にいて」

「は?」

「……もっと、一緒にいたい、から……」


濡れた黒い髪、少し湿った白い肌。

赤く艶っぽい唇。

雨の影響でところどころ透けているシャツを着ている優凛。

……こんな状況で、そのセリフはねえだろ。


「睦斗、今日だけ、お願い。行かないで…」

「っ……」


さらに追い打ちをかけるように、優凛は急に抱きついてきた。

甘い香りが鼻腔をくすぐる。

さすがの俺も、もう限界だった。


「……誘ってんのか」

「え……?」


お決まりのセリフを耳元で囁けば、当然困惑した顔をする優凛。

指でその輪郭に触れ──


「んむっ……!?」


キスをした。

逃げられないようにもう片方の手は後頭部にに手を回して、今までで一番深いキスを。