リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

「……帰っちゃうの?」


アホか、帰るに決まってんだろ。

無自覚の天然だとしたらタチが悪すぎる。


「雨の日に独りは嫌だよ……」


答えを濁していると、見る見る内に、優凛が表情を失っていく。

この顔──以前学校で倒れかけた時に見せた顔だ。

瞳に何も映していない、人形のような表情。

……そんな顔するなよ。


「……分かったよ」

「え?」

「ちょっと雨宿りさせてくれ」


しまった、口が滑った。

そう思った時には遅かった。


「じゃあ行こう。私の部屋は掃除してないからダメだけど、そこ以外は大歓迎ー!」


慌てて訂正しようとしたってのに、優凛は手を取り腕を引っ張り、満面の笑みで連れ込もうとしている。

ダメだこいつ……完璧なる天然だ。