リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

「お待たせ睦斗!3日ぶりかなー?」


5分と待たない間に、優凛が息を切らしながらやって来た。

わざわざ走ってきたのか?


「悪いな」

「なんで?睦斗に会いたかったから走ってきただけ」


いたずらっぽく口角を上げる優凛。

抱きしめたい衝動に駆られたが。


「あれ……」


ポツポツと、雨粒が空から落ちてくる。

なるほど。急に影ってきたと思えばこういうことか。


「ひゃっ……!」


その一粒が頭に直撃したらしい優凛は「ヤバい、酸性雨だからハゲる!」なんて馬鹿げたこといいながら駆け回った。


「優凛、乗れ」

「え!?」

「お前の家まで送るから、案内しろ」

「あ、分かった!」


折角会えたのに残念。

今日は雨に(はば)まれてここまでのようだ。

降り出した雨は本降りとなり、優凛の家に着くころには、服の裾から水が滴るほど雨に打ちつけられていた。


「ゲリラ豪雨め!こんなに濡れたらお風呂に入らなきゃいけないじゃんか!」


安西家の車庫に単車を一旦止め、髪についた滴を払う優凛を見ていた。


「もー!夏のにわか雨ほど嫌なものはないね!」

「……風邪引かないようにしろよ」

「そうだね。このままじゃ風邪引いちゃうや。睦斗行こう」

「はっ?」


俺を連れてどこに行くんだよ。


「え?だってビシャビシャだよ?風邪引くよ?」


おい、まさかお前。


「家の中に入れって言ってんのか?」

「はい?それ以外に何があるの?」


……マジかよ。健全な男子高校生を前に警戒心なさすぎだろ。