リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

「……はっ、お前らしいよ。期待して損した」


那智は失望したかのように言い放ち、俺に背を向けた。

期待して損した、というのはどういう意味だ。

那智、お前もしかしてこのまま──


「お前、ちょっと待てよ」


最悪のシナリオが過ぎった時だった。

璃輝が那智の目の前に出た。

しかし那智は聞こえなかったかのように、すれ違おうとした。


「待てって、言ってんだろうが!」

「うるせぇ、どけよ」

「ふざけんな!独りで悩んで勝手に決断してんじゃねえよ!
お前、このまま雷神抜ける気だろ!?」

「……」

「おい、なんとか言えよ!」


「璃輝!」


すかさず璃輝は那智の腕を掴んだが、俺はそれを解放するよう視線で促した。


「睦斗……?」


璃輝が怯んだすきに、那智は進んで扉に手をかける。

そうして那智は姿を眩ませた。