リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

冷や汗がダラリと頬を伝うのを感じた。

こうなったら、話なんて聞かなくていいから脱出経路を探そう。

やばい、極度の恐怖と焦りで頭のネジぶっ飛びそう。

あ、もう飛んでるから大丈夫。意味ないやぁ。


「聞いてんのか」

「のわっ!」


なんて気楽に考えていると、男の声。

恐るおそる見上げると──総長が目の前にいた。

……ああ、もう、無理だ。ショート寸前。


「もう逃げんなよ。お前さ、なんで──」

「ごめんなさぁぁーーーいぃ!」


制御不能になった私の頭は逃げることを選び、走りだした。

とにかくおっかなくて、ひたすら出口めがけて走った。


「……何あの身のこなし。格闘技やってる?」

「バカ、関心してる場合じゃねえだろうが桜汰(おうた)、早く捕まえっぞ!」


聞こえるのはリキさんとチャラ男の声。

ふっ、残念だがそれは不可能だな。

ドアまであっという間にたどり着いたのだから。

この先に逃げ込めばなんとかなる!それではみなさんごきげんよう!

私は猛スピードでドアの前まで走った。


──ゴン!


ところが、おでこに鈍い衝撃を食らって私は倒れ込んだ。