リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

「えっ?」


いつも落ち着き払ってる睦斗が、頭をガシガシ掻いて、早足に歩き始めた。


「わざわざ会いに来たなんて、思われたくなかったんだよ」


後頭部を見つめながら、私もその後について行く。


「けど那智が気になるし、アジトに優凛を置いてったら他の連中に何されるか分かんねえし…」


早口にまくし立てる睦斗は、耳を真っ赤にして説明を続けた。

……ヤバい。こんな可愛い睦斗初めて見た。


「だったら、優凛連れて那智の家に行こうと思っただけだ。
ツーリングついでにちょっと寄ったって言えば不審がられないだろ」


結論に達した彼は、立ち止まって振り返り、眉間にしわを寄せた。

いつもなら怖いって思うその仕草も、今は恐ろしさ半減だ。

だって、お顔とお耳が赤く染まってる。

睦斗もこんな顔するんだね。


「へぇ~、睦斗くん彼女を利用したんだ~ひどいな~」

「うっせえな。それに言ったろ。お前をアジトに置いてくのが不安だったって。
悪かったな、そのためだけに連れ回すような独占欲の強い男で」

「え……」


かと思えば、その言葉に今度は私が赤面してしまった。

恥ずかしいような嬉しいような、なんとも言いがたい空気が流れる。


「ほら、着いたぞ」


すると恥ずかしさを隠すように視線を逸らした睦斗は、河川敷から離れていった。