「ここをまっすぐ行ったところに、那智の家があるんだ」

「ふぅん」

「那智と同じ学校に通ってたんだよ、俺」

「そう、なんだ」

「あいつは中学からヤンキー丸出しだったな。金髪だったし」

「え~、意外。那智ってそんな主張しなさそうなのに」

「だろ?あいつはだいぶ大人しくなった方だよ」


那智の名前が出てきたとたん緊張してしまう。

那智は今、どうしているんだろう。

7月の終わり、あの日以来那智とまともに話せていない。

あの出来事が嘘じゃないのかと思うほど、那智との間には何もない。


このまま忘れてしまえばいいと思う反面、那智に会いたいと思う私がいる。

このままにしちゃいけない気がするんだ。

だから、そのためもあって何度もアジトに足を運んだのに、那智は平然としていた。

避けられてるのかと思うくらい、話すこともなくなった。

……私は、そんな関係のままは嫌だった。


「……最近、那智がどうも付き合い悪くてな」

「え、那智が?睦斗に対してってこと?」


なんだか暗い方向に考えあぐねていたので、ふっ切って睦斗の話に集中することにした。