それから睦斗は炎天下のもと、10分ほどバイクを走らせ、最終的にエンジンを止めたのは、見知らぬ商店街の駐車場。

そこにバイクを駐車させた睦斗は、被っていたヘルメットを取った。

同じように私もヘルメットの蒸し暑さから脱出。


「ぷはっ……いい風~」


頭全体を覆うフルヘルメットを被ってたおかげで日焼けしなかったけども、こもった熱で息苦しかったんだ。

しばらく流れる風に身を任せていると。


「優凛、行くぞ」


睦斗が抜き取ったバイクのキーを片手に、私の顔を覗き込んでいた。

声に従って降りて、睦斗の隣に並ぶ。

それから他愛のない会話をしながら、商店街を出て、2人で歩いた。


「……懐かしい」


商店街を抜けた先にある、河川敷に差し掛かった時、睦斗が呟いた。


「中学の時、よく通ってたんだ。この道」

「へえ……」


睦斗の中学校時代か。

いったいどんな不良時代を過ごしてきたんだろう。


「優凛、今良からぬこと想像しただろ。
言っとくが中学の時は割と真面目だったからな」

「え、絶対嘘だ!想像できない!」

「お前、失礼だろ。まあ確かに、今の俺からは想像できないかもな」

「へぇ~」


それにしても中学校、か。

そういえば私、何してたっけ?

なぜか全然思い出せない。

高校に入ってからが楽しすぎるから、記憶が薄れちゃってる。

……老化かしら?