リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

side 優凛


何度も心の中でループする。

那智の声が、頭の中で何回も。


状況がうまく飲み込めなくて、本当に声が出なくなって、那智から目が離れなかった。

何か言わなきゃ。何かしなくちゃ。

頭で必死に考えてるつもりなのに、何も浮かんでこない。


……思ってもなかった。

那智が私に対してそういう気持ちを抱いていたなんて。

できることならその場で冗談だと、笑って欲しかった。

だけど那智の言葉に、表情には、嘘なんて何一つなかった。


──ガサッ


静寂を破った物音にさえも、体は反応してくれなかった。

一筋の光が私たちを照らす。


「……ここにいたか。やっと見つけた」


光をたどると、人影があった。


「優凛、那智。探したぞお前ら」


目を凝らすまでもなく、私は正体を見切っていた。

たとえ見ていなくても声でわかる、この声は睦斗だ。


「連絡しろって言ったろ?2人して迷子扱いされるところだったぞ」


睦斗の声を聞くや否や、那智が腰を上げた。


「あ……」


思いがけず、那智を呼び寄せようとした私だけど、すぐにその口を閉じた。

……何を言えばいいのか分からないから。


「優凛、お前も帰るぞ」


那智は振り返ることなく去ってしまった。

無力な自分が腹立だしい。

何もできない。誰も救えない。

どうして私はいつもこうなんだろう。