リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

普通じゃない。

それを機に、あいつの見方が変わった。

表面上は警戒をしていても、興味を持つほどになってしまった。

そんな時。


『……あなたは、歌が嫌い?』


あの屋上で初めて話した時。

優凛に対して疑問を持ち始めた。

ただ、俺が疑問に思ったのは、問いの内容じゃない。

普段の優凛からは想像できない、虚ろな表情。

色を持ち合わせていない、無感情な瞳。

黒い瞳には何も映っていなくて、暗い影が宿っていた。


何を見ている?

その瞳の奥に何を、はたまた誰を思い浮かべてんだ?

こいつは……いったい何を抱えてる?

普段とは一転して雰囲気を変えた目の前の女に、俺は思いもよらず───


『嫌いじゃねえよ』


いとも簡単に、認めてしまった。

本心でもそう思っていたから、否定をすることができなかった。


変な女、それだけの感情で良かったってのに。


『那智って、優しい名前だよね』


あいつはいつもそうだった。

俺が自身を否定すると、必ずあいつは優しく返してくる。

笑顔で、心を安らぐことを必ず。


……こいつが、俺のそばにいればいいのに。

ふと、そう思ってしまった。

勘違いであって欲しいと願いながら、毎日屋上で、優凛と話せる時間を楽しみにしている俺がいた。