それを覆したのが、安西優凛という女の存在。

こいつは明らかにほかの女と違っていた。


雷神に媚びる女みてえに色目を使うどころか、俺たちに怯えもせず挑発的で───血気盛ん。

悠を殴り飛ばした時なんか、あの細腕のどこにそんな力が、と驚いた。

イカれてる、優凛に対して一番最初に思った感情がそれだ。


しかし、ある時を境にその考えが大きく変わった。

それはこいつにとって、一番の魅力と断言できるもの。

万人を魅了する、他に類を見ない歌声。

初めて聞いた時は、その類稀(たぐいまれ)な歌唱力に心を奪われた。

一言じゃ到底表わし切れない、美しさと力強さに、一瞬にして引き込まれていた。