リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

そして、辺りがほんのり夕焼け色に染まるころ。

澄んだ空気、夕日がゆらめく不思議なムードの中、旅館の玄関付近に集結した。


「見て、みんな集めたよ睦斗!」


猛ダッシュで龍ちゃん以外の全員をかき集めた私は、えっへんと腰に手を当てた。


「……全員集まったな」


私をパシらせた睦斗は、頭数を数えて、一同が揃ってることをチェックしていく。


「さて、始めようか」

「……何を?」

「ナイトウォーク」

「ナイトウォーク!!?」


嘘でしょ睦斗くん。

小学校のお泊り会とかじゃあるまいに。

こちとら、そんなものでウキウキする年頃じないんだけど。


「……ただのナイトウォークじゃねえ。
ちゃんとした賞品つき。言って見りゃ宝探しだ」

「賞品……宝探し?」

「現金総額、5万円」

「5万円!?」


そらあ、楽しみだ。

現金だけに現金な私は、賞品があるというだけで既にワクワクしちゃってる。


「時間は今から飯までの30分。場所は旅館の敷地内全体。賞品は各自に散らばってるから、見つけ次第回収しとけ」


睦斗が説明じみたことを言い始めると、雷神たちは横に一列に並んでいく。


「それから、自分のいる場所が分からなくなったら、誰かに連絡しろよ」


スタート地点らしいので、私とココも並んでみることに。


「いいか?じゃ……始め」


その声を合図に、みんなそれぞれに散らばっていった。