リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

「俺はただ、瀬戸家の人間ってだけだ。それ以上でも、それ以下でもねえ」


重大な話をしてるんだろうか。

いつもと違う彼を見て、私は壁際に身を隠した。


「違うのは……俺が、今は亡き先代の血を引いていることだけ」


先代ってことは、前社長。

つまり颯先輩は、本物の御曹司なんだ。

だから、誰もが憧れるような風格がある。

カッコよくて、優しくて、強くて、みんなにないものを持ってる。


「それだけなのに……なんでこんな虚しいんだろうな」


でも、『今は亡き』ってどういう意味?

父親である先代の社長さんは──この世に存在しないの?


「俺にはもう家族が残っていないからか?過重な責任を背負わされているからか?」


颯先輩は、賢くて我慢強い。

だから余計辛いんだ。

自分にのしかかるプレッシャーに耐えて、常に毅然とした態度であり続けなければいけないことが。


「……分かんねえ。体裁ばかり気にする瀬戸家の人間も、俺に媚びを売る連中も」