「それでは、ここに集まったことを記念して……乾杯!」


桜汰先輩のかけ声に合わせ、一斉に乾杯した。


「……で、これ俺がやる必要あった?」

「あるだろ、桜汰の指示がなけりゃこんな早く準備終わらねえよ」


乾杯した後、先輩は睦斗にこそっと言ってたけど、そう言われて満足げだった。


「ハイ、どうぞ」


その近くで、ココが紙皿と割り箸を雷神たちに渡していく。

最初にるんるんで皿を受け取ったのは、璃輝さんと悠の2人。


「肉じゃあ~!」

「よっしゃ食うぜ!焼き尽くす!」


一気にお肉ゾーンへ直行した2人は、お肉を乗せてある皿を構え、すぐさま炭火のバーベキューコンロの上で焼き始めた。


「……ハイ、これ優凛のね」

「ありがとー」


ジュージューと美味しそうな音と匂いに注目してると、ココが私のところに回って来てお皿を渡す。

その後、雷神たちと龍ちゃんに笑顔で配ったココは、最後の1人の前で少しためらった。

那智の前だった。


「……那智、はいどうぞ」


ココがためらいがちな笑顔でお皿を差し出すと、那智は片手で受け取った。

そのまま離れていくのかと思いきや──


「……ありがと」


すれ違い様にぼそっと、ココに告げた。

不意打ちに、さり気なく、カッコよく。

くぅ、やっぱり優しいな那智って。