リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

「まさか、瀬戸モーターズの瀬戸颯一なの!!?」

「そう、せーかい。ここは瀬戸モーターズが経営してる旅館ってわけ」


桜汰先輩がにっこりと笑って正解、と言ってくれた。


「なんと、颯先輩が……。
あの、斬新でカッチョよくて素敵なバイクを生み出す、瀬戸モーターズの方なんですか!!?」


なんだか嬉しくて、颯先輩の歩みを止めて彼の正面に回った。


「あそこのバイク大好きなんです!瀬戸モーターズのことリスペクトしてます!!」

「……颯さんに言うのはおかしいだろ」


……まあ、横入りしてきた悠は放っておくとして。


「颯先輩、今日は連れて来てくれてありがとうございます。精一杯楽しみますね!」


とにかくずっと言いたかったことを伝えた。

今日は颯先輩のおかげでこうやって遊べるわけだし、先輩はこんな私にいつも優しく接してくれるから、日頃の感謝もこめて深く一礼。

旅館の玄関先で謝礼をするのはおかしいかもしれないけど、私なりの精一杯を形にした。


「颯先輩?」

「……フフッ、ああ、楽しんでな」


頭を上げると、ちょうどそこに颯先輩の手がきた。

優しく頭をポンポンして、颯先輩は笑みを零した。

でも、どうしてだろう。その笑みは少し悲しげだった。


「どうした?」

「……いえ!精一杯楽しませていただきます!」


だけど気のせいだと思い、笑顔を作って大きく頷く。

さあ、楽しい1日の始まりだ!