リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

気を使ってくれたみたいで申し訳ない、なんて思いながら旅館の中に入る。


「ねえ、アレが颯一さん?」

「そうよ。あの銀髪の、背の高い人が若様!」

「へえ、あの人が……かっこいいのね」


ちょびっと複雑な心境で睦斗の隣を歩いてると、かすかに聞こえた女中さんの声。

『若様』ってなんだ?


「あの人が……瀬戸家の御曹司」

「イケメンね~派手な髪が気になるけど」


容姿を褒めるなど、そのすべて颯先輩に関しての話題だ。

若様とか御曹司とか──颯先輩ってホントに何者なの?

疑問に思って颯先輩に視線を送った。


「……ん?」


すると、颯先輩とバチッと目が合った。

そんな気づかれるほど熱烈な視線をぶつけてた?


「颯先輩、この旅館は颯先輩とどういう関係があるんですか?
はっ……もしかしてご実家が旅館を経営されてるとか?」


黙ってるのも気まずいから、颯先輩に問いを発した。


「ハハッ、優凛ちゃん。確かに颯の家もこんな感じだけど、ちょっと違うな」


そしたらなぜか、後ろにいた桜汰先輩が応答。

じゃあ、ここは何だ?

というか、颯先輩の家がこんな感じって、どれだけ豪華なんだよ!


「優凛ちゃん、『瀬戸モーターズ』って知ってる?」


瀬戸モーターズ、だと?

それぞれの車種にカッチョよく“SETO”って斜め文字が入ってるところだよね?

龍ちゃんのバイク屋さんも、確か瀬戸モーターズののバイク取り扱ってるから、よく知ってる。


「知ってますとも!あそこのバイクかっこいいですよね!」


元気いっぱいに言うと、反応したのは那智。


「……じゃあ、もう分かるだろ」


瀬戸モーターズと颯先輩の関連性?

そう言えば、颯先輩の名字「瀬戸」だ。