「んー……どっから話せばええんかな」

「手短に分かりやすくお願いします」

「とりあえず、この地区を中心に関東地方を支配してる暴走族が“雷神”や。
構成人数は毎年変わったりするみたいやけど、大体50人くらい」

「50人……それって少ない方?」


よく分かんないから適当に質問してみた。


「まあ、少ないほうやな。けど()りすぐりしか入れへんから、そんぐらいで十分や!」

「なるほど」

「それに雷神は30を超える傘下を持ってるって噂やからな!全体の規模からすれば500人を超える大所帯や!」

「ほうほう」

「雷神は30年前くらいからある伝統的な暴走族で、今の総長で11代目」


伝統的な暴走族──なんだそりゃ。

30年で11人ってことは2~3年に総長が替わるって計算か。


「ちなみに雷神は元は“風神”やったらしいんやけど、20年くらい前に改名したんやって」

「……ふーん」

「実は雷神は今までに1回、族の世界から“消えた”ことがあるんやけど、そこを立て直したのが今の総長!
あの人がトップとなってから、もうスゴイんやで雷神の勢いは!」

「へぇー」


奥が深い話だけど、正直興味がない。

30年前から続いてるって、1回潰れちゃってるんじゃ伝統あるなんて言えないじゃん。

なんて心の中でブーブー言ってると。


「そして俺の目標は、その雷神に入ることや!」


ぐっと拳を固めて決意を示す龍生の顔が目の前に来た。

いや、顔近いって。