「もしもし……ココ?」


翌日も、ココは学校を休んだ。

昨日の出来事もあり、電話するかどうか迷ったけど、やっぱり電話することにした。

私は怒られる覚悟でいた。


『……優凛?』

「うん、おはよう。熱が出たって聞いたけど、大丈夫?」

『……大丈夫だよ。ごめんね、優凛に連絡も無しに休んで』

「何で謝るのー?私はただ、ココがいなくて寂しくってさ、勝手に電話しちゃっただけ」

『そっか……』


他愛もない会話を交わしてると、ココは急にだんまりしてしまった。

その後聞こえて来るのは嗚咽だけ。


『……私、なんにも、知らなかった。
那智、のこと……全然……』


やっと口を開いたココは泣いてた。

自分にじゃなくて、那智のために。

他人のせいにするんじゃなくて、自分の不甲斐なさに。

なんて優しい子なんだろう。


「大丈夫だよ、ココ」

『っ……?』

「ココの優しさは、ちゃんと那智に伝わってる」


それに、那智はココに対してあんなひどいことを言ったんじゃない。

もうそばにはいない、誰かだ。


「だから大丈夫、絶対大丈夫。心配しなくていいよ」

『……あり、がとう』

「ううん、私こそごめんね。
電話出てくれてありがとう。じゃあ、またね」


ココが少しで暗い気持ちにならないように、明るくハキハキしゃべって、電話を切った。


「……さて」


ケータイを制服のポケットに入れた私は、足を進めた。

行先は、あの場所。

そこであの人に、聞かなくちゃいけないことがある。