リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

「那、智……?」

「名前で呼ぶな。胸クソ悪い…」

「えっ……」


投げやりにココをけなす那智。

嫌だ、やめて。

お願いだから、それ以上は言わないで。


「お前もあいつと同じ──」

「那智!」


私は無我夢中に叫んで、無意識の内に那智のもとへ駆け出した。体が言うことを聞かない。

違う。私の意思だけど、こんなことは望んでない。

なのに私の手は、那智を傷つけることを選んだんだ。


「っ……!?」


那智が私の姿を確認するよりも早く、パシンと乾いた音がした。

那智は無言でななめに顔を伏せてて、その頬が赤かった。

手のひらは熱くて、震えてた。

気がつくと、那智の頬を平手打ちしていた。


「優凛!?」


空間に声を渡らせたのは、驚いた様子のココ。


「てめえ……!」


触発されてか、那智も反応を示す。

怒りを(あら)わにした眼。

怖かったけど、それどころじゃない。


「最悪なのはお前だ!」


私は彼以上に、怒っているのだから。