「……うん、那智のこと」


顔を隠してたココは堪忍したように、手を離した。

って、うん?


「……あれ?ココ、那智のこと下の名前で呼ぶようになったの!?」

「……うん、最近だけど」

「へぇ〜……ん?」


ところで私、那智に名前はおろか、安西の「あ」の字も出してもらったことないかも。


「てか、付き合ってるんじゃなかったの?」


話が飛んで行きそうだったので意識を引き戻してココに質問。


「ええっ!?」

「え?違うの?」

「違うよ!ただ……私の、片思い……」


真っ赤になってうつむいたココ。


「んー……脈アリじゃないの?那智?」

「え……なんで?」

「だって那智ってさ、極度の女嫌いでしょ?
でもココとは普通に話すし、ココと一緒にいる時、雰囲気優しいし……」

「ホント?」

「うん、素直な感想」

「……じゃあ、伝えてもいいのかな?」


唇を結んだココは、その薄紅色を開いて、一語一句噛みしめるように、凛とした声を私に届けた。


「出会った時からずっと好きだったの。
ちゃんと気持ちを……告白したい」

「うん、伝えよう。言葉にすることには勇気がいるけど、ココなら大丈夫。気持ちは伝わるよ」

「……ありがとう優凛。私、頑張るね」


誠実に受け止めてくれたココは、やわらかく穏やかに頬をゆるめた。


「こっちこそ話してくれてありがとう……もう、ココ大好き!」

「ひゃっ……」


胸が詰まるような気持ちがこみ上げてきて、ココを抱きしめた。

こんなに素直で純粋で、私なんかに優しく接してくれるココなら、絶対大丈夫。

きっと想ってる人と結ばれる。

そう思って。