「ねえ、優凛……聞いてほしいことがあるの」


それは、罰ゲームという名の路上ライブを行った、1週間後の学校でのこと。


「なあに?」

「あのね……どうしても、ちゃんと言いたいの」


ホントに梅雨かと思うほど、青天の下、学校の中庭でランチしていた時のこと。


「言うって……どちら様に?」


いつも通り、優雅なランチタイムを楽しんでると、ココが真剣な面持ちで話を切り出した。

よほどのことなんだろうと、固唾(かたず)を飲んで次の言葉を待っていたけど。


「……やっぱり言えない!」

「うぉい!」


突然の白紙化に、芸人並みにずっこけた。


「それめっちゃ気になるパターンだよ、ちゃんと言って!」

「ダメ、ダメだよ……!」


すぐ起き上がって言ってくれと頼んだけど、ココはその一点張りで、ついに顔を覆ってしまった。

ただ、指の間から見える白い肌は、今はピンク色。

もしや。


「……那智絡み?」

「……」


半信半疑で那智の名前を出すと、反射的にココが動きを止めた。

ははーん、那智になんか伝えたいんだな。

恋する乙女だ!