「……みんなと仲良くね。あの人達なら、姉ちゃんをちゃんと守ってくれるよ」


どこか憂いを帯びた、意味深な言葉。

うっすら微笑む達綺は、滅多に見せない安らかな表情で声を落とした。

なんか、急にいい弟になったぞ。どした。


「だから迷惑かけちゃだめだからね?」

「うん……?」

「一応釘を刺しとくけど、単細胞発揮すんなよ?」

「……」

「じゃ、練習で汗かいたんで風呂に入ってきまーす」


すっと腰を上げ、話を終了させた達綺。

話は終わったはずなのに、おかしいな。

なんだこの沸き起こる感情。

ちょっと思い返してみよう。あいつ何て言った?

このお姉さまに向かって、単細胞だと?マヌケだと?

さっきから聞いてりゃ、挑発的なことばっかり抜かしおって。

もう黙っとれん。兄弟だからとて許せぬぞ!