リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-





その調子で、最後まで辺りの様子を気にせずに歌い切ってしまった私。

思いのほか楽しんでしまったぞ?

通行人からすれば、かなりの痛いやつに見られたのでは?

伴奏を終わらせながら、こわごわ伏せていた目を開けた。


「ウソ……」


しかしそこには、信じられない光景が広がっていた。


「やば、鳥肌立った……」


そう言ってパチパチ拍手を送るJKの2人組。

その横は、男子小学生らしき3人組、OLと見られる2人組や、家族連れがいらしたり。

その前にヤンキー座りしてたりするガラの悪い雷神たちに目にもくれず、20人弱の観衆ができて

どうしたのこの集団は!?


「……ヤベ、すげえ集まってる!」


びっくり仰天してると、振り返った悠が見物人に注目。


「さすが優凛ちゃーん」


桜汰先輩は、チャラい感じでウインク。

うむ、スルーしておこう。


「ウハハッ!すごいやんか、初めてでコレか!」


龍生はなぜか私より嬉しそうだった。


「……歌わねえの、まだ時間あるけど」


ぼけっとしてると、睦斗が視界に入って来た。


「これは幻デスカ?」

「だから、言ったろ?」


『お前なら皆が認めてくれる』って言ってたけどまさかこんなことになるなんて。

現実味がない夢みたいだ。