「……マジか、ステキ過ぎるじゃん」

「はい?」

「ふーん、へえー……」


何を考えてるのか分からない表情で、睦斗たちを見た達綺は再びバスケコートの中に入っていく。

そして端っこに転がってるボールをおもむろに拾う。


───シュッ


それから綺麗な放物線を描く完璧なシュートを放つ。

素人目にもそう思えるほどのボールさばき。

ボールは必然的に、といっても過言ではないほど見事にスパッとゴールに吸い込まれていった。


「すげえ…」と誰かが賛嘆の声を漏らす。

ゴールに入ったのを確認した達綺は、片手でバスケットボールを掴み、ボールを持ってコートから出た。

その足で停めてあった自転車に乗って再度私のとこに戻ってきた。


「じゃ、俺はこれで」

「え……もう練習おしまい?」

「んなわけねえし。昼から市民体育館で高校生に混ぜてもらう」

「高校生と一緒に!?すごいね」

「まあ、ほとんど遊びだけど……そんじゃ、姉ちゃんも楽しんで来て」


それだけ言って、達綺はシャーっとクロスバイクをこいで行った。

……生意気だがやっぱりクールだな、弟よ。