リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

「うわ……すげえ」

「何見てんだ璃輝」

「颯……あいつ、凄くね?素人目に見てもすげーバスケうまい」


バイクの騒音が止んだ頃、俺の集中力は研ぎ澄まされていた。

これは調子がいい証拠だから、何をやってもできる。

後ろに下がって、スリーを打てば。


──シュパッ


ボールがリングに当たることなく、吸い込まれるように決まる。


「うおお!すっげえ!!」

「ヤベェあいつ、カッケー!ダンクしねえかな!?」

「あの身長じゃ無理だろ」


騒ぎ始めたヤンキーたちが勝手に俺を評価する。

確かに、今の俺の身長じゃダンクシュートはできないけど───誰だ今言ったヤツ。

カチンと来て、ヤンキーどもを一瞬視界に入れた。


「おはよう皆ー!」


その時だった。


「あ?おい!遅えぞてめえ!」


突然聞こえた高い声に反応して、赤髪がフェンスから離れる。


「え?遅れちゃった!?」

「いや、まだ10時15分。全然余裕だよ優凛ちゃん」


今度はその後ろにいた、背の高い金髪の男の言葉に耳を疑った。

『ユウリ』?今そう言ったよな、あいつ。


「なんだー良かった!」


待ち人らしい人物の声に、聞き覚えがあった。

と言うか確実に、いつも聞いてる声だった。


「ところで何見てたの!?イケメン?それとも美女?」


嬉々としてフェンスの寄ってきた姿に、俺は驚くしかなかった。


「……姉ちゃん?」


間違いない。

猪突猛進でぶっ飛んだ言動をかます、姉ちゃんだ!


「……達綺!?」


俺はすぐさまボールを投げ、練習を切り上げた。