side 達綺


パンを咥えながら、チャリをこいで目的地に向かう。

背中にはボールの入ったバックを背負って、行先は公園。

そこにはバスケコートが設置しているから、いつも練習に使ってる。

今日も普通にそうするつもりだった。


「うっし……やるか」


チャリをバスケコートを囲ってるフェンスの近くに止めて、ボールを取り出しコートの中へ。

まだ6月なのに、日差しが熱い。

でもこの中でやることに意味があるんだ。

もっとスタミナつけねえと、上は目指せない。


コートの内に入ったらストレッチして、ボール使ってハンドリング。

すぐに身体が温まったから、本格的にボール使った練習を始めた。

レイアップ、スリー、ジャンプシュート……。

一通りこなしていた俺は、不意に何かを感じた。


───ヴォン…ヴォン


低く響く、まるで猛獣のうなり声のような音。

でも別に驚くようなことじゃないから、ドリブルしながらなんとなくそっちに耳を傾けてた。

次第に遠くなっていくのかと思ってたら、音が近づいてくる。

けたたましいエンジン音が、鼓膜を震わせる。


「……バイク?なんでこんな時に」


うるさいから気になって、ボールをつくのをやめた。


「……ハア?」


数秒後、驚きの光景が目の前に広がった。