リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

なんかクセのある喋り方に気になった。関西弁だな。


「びっくりしたわぁ、何を抱えて来てるんかと……」


振り返るとその男の子は私に近づいて来て、空いている隣の席に座った。

明るめの茶髪に、両耳のピアスがキラリと光る。


「えっと、一番前やから安西さんでええか?」

「うん、そうだよ」


うーん、かっこいいけどちょっとチャラそうだな。

どうしよう“雷神”の人だったら。


「あんた、ツッコミどころ満載やけど……とりあえず自己紹介と行こか?
俺は井上龍生(いのうえりゅうせい)。大阪から来た」

「……大阪?あー、だから関西弁なわけだ」

「せやな、ご名答」


そう言って、顔をくしゃっとした井上くん。

かっこいいなーって思ってたけど、笑ったらもっとイケメンじゃないか!

八重歯がカワイイし、えくぼができるのもステキなチャームポイントだ!


「で、あんたは安西……ユリ、ユウリン?あれなんて読むん?
昨日クラスの名簿もらって見たんやけど、なんでアレふり仮名振ってへんの!?
俺の平凡な名前しか読めんかったわ!」

「自分で平凡言うなよ」

「ハハッ、高校に入って初ツッコミいただきました!」


なぜか両手を合わせて頭を下げ、私を拝む井上くん。

うん、やっぱり関西圏の人ってノリがいいのね。


「おー、良かったですなあ。ちなみに私の名前はユウリって読みまっせ。よろしゅうな」


ちょっと真似して、エセ関西弁で自己紹介。

そしたら「は?」って顔された。

うん、初対面の人にはよくこんな顔される。


「あんた、サラッとそんなキャラになれるんやなあ。……ちょっと意外やったわ」

「うん大丈夫、よくネジが外れてるって言われるから」

「自分で言うなて!悲しくなるやろ」

「自分で平凡とかいう君もねー」

「ぶっは!せやったなあ!」


……うむむ、結局この人が雷神かどうか分かんなかったな。

仲良くなれたのは嬉しいけどちょっとモヤモヤする。

そう考えてた時だった。


「おい1年!」


突然のその声に、和やかなムードが崩れた。