「うっ……」

「優凛、どうした?」


鋭い痛みが頭を走る。

これは、暗いこと考えてちゃダメだってサインだ。

切り替えしないと!


「なんでもないよ、大丈夫!
えっと……お父さんはヒーローなんだよね?
私、睦斗から話を聞いた時、お父さんの事カッコいいって思ったよ!」

「……」

「……最初は雷神って怖い人ばっかりだって思ってた。
けどね、みんなすごくあったかい人ばっかりなんだ。
その雷神の3代目がお父さんだって聞いて、今は嬉しいよ」

「……そうか」


くしゃっと笑うお父さんの顔は優しくて、こっちも笑顔になる。

にこやかに笑い合ってたら、睦斗がなぜか割って入ってきた。


「優凛、ところでお前……」


最強ドS総長が、ブラックオーラを背負って私の前に立ちはだかった。


「なんで勝手にアジトに入って来てんだ?ああ?」

「え…!?」

「裏口から勝手に侵入して、俺らの動向をうかがってたって……それ、犯罪だよな」


犯罪?確かに睦斗の電話を半ば強引に切ってアジトに潜入したのは悪いけど。

犯罪って、そこまで言いますか!?


「優凛、不法侵入って言葉知ってっか?」

「し、知ってますとも……」

「いくらお前でも、勝手にアジトに入り込むのはいけねえだろ」


近づいてくる睦斗は、ゆっくりと口角を上げる。


「だから……」


妖艶な笑みは、危険を(ともな)って私の本能に信号を送る。

“なにか企んでる!”という危険信号。






「───罰ゲーム、しようか?」